スピッツと私

名前をつけてやる以前いた会社で、スイス旅行担当になったことがあります。毎日スイスの勉強ばかりしていました。当時はネットの普及も今ひとつで、「ルツェルンからブリークまで電車の乗り継ぎで行く方法」などを、時刻表に付箋をはさみまくって調べていました。


スイスには、大都市ではないけれど、乗り換えのキーになる駅がいくつかあり、そのひとつがSPIEZ(シュピーツ)という駅。毎日100回は、その駅のページを開いていました。そんな時、帰りの電話などで、「SPITZのニューアルバム」なんて広告があったりすると、「なぜここにシュピーツが!」と、わけもなくブルーになったりしたもの。


そんないきさつがあるにも関わらず、日本人のアーチストの中では、スピッツが一番好きかもしれません。世代が同じだし。同じ福岡生まれだし。ギターのコード進行とか、言葉の選び方を聴いていると、子供の頃から同じような音楽を聴いて、同じような本を読んでいた気がします。


彼らに大きなテーマがあるとしたら、喪失感と宇宙。いえ、違うかもしれませんけど、私が聴くときは、いつもその2つを感じます。ここにはいない誰かのことを、いつも意識させます。または、いまここにいるのに、いずれは失われてしまうと知っている誰かのこととか。宇宙は、その喪失感を絶望に変えないための広がりで。てんで的外れかもしれませんが、私はそうやって聴いています。


ところで、そんなこととは別に、草野正宗の曲が、私の生活にマッチした曲がいくつかあるので、ぜひここで発表させてください。


ひとつは「俺の赤い星」。阪神ファンなので。赤星が盗塁するたびに、「俺の赤い星が!」と興奮しています。清原における「とんぼ」のように、この曲が赤星のテーマソングにならないものか。


もうひとつは「ミカンズのテーマ」。私と一緒に住んでいる猫の名前が「みかん」なので。ただそれだけです。歌詞によく猫が出てくるし、「名前をつけてやる」のジャケットはデブ猫だし、草野マサムネは、猫と暮らしていると思うのですが、ファンの子に聞いたら、そんな話聞いたことないとのことでした。ちぇっ。「猫になりたい」って曲まであるのにな〜。


あとひとつは「8823」。自分の誕生日が8月23日なので私のために書かれた曲。と思い込んで生きています。調子に乗って、新しいクレジットカードの暗証番号もコレで行こうと、申込書に書いて送ったら、今は生年月日を連想させるものは、登録すらできないそうで、断られました。で、絶対に覚えられないようなランダムな番号を、勝手に振り分けてきやがりましたわ。